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民主党が上院と下院を掌握、暗号通貨立法の進展は鈍化へ トランプ一族の暗号資産事業が先に調査へ

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投資家にとって、既に施行されたGENIUSステーブルコイン法案は比較的リスクが低く、真に再評価の対象となるのは「規制の全面的緩和」に賭けたナラティブである。

著者:Tiger Research

翻訳:TechFlow

TechFlowガイド:中間選挙後、暗号資産業界が過去2年間享受していた最大の政策的な追い風が消えつつある。Tiger Researchは、第119回議会での民主党の三つの立場を順に整理し、結論は明確である。短期的には市場が待つのは新法案ではなく、トランプ家のWorld Liberty Financialに対する調査とSECへの追及であり、CLARITY法案はほぼ確実に先送りされる見通しだ。投資家にとって、すでに成立したGENIUS安定通貨法案は相対的に安全だが、真に再評価される必要があるのは「規制の全面的な緩和」に賭けるナラティブだ。

主要ポイント

民主党は上院・下院いずれでも過半数を獲得し、それぞれ上院54議席、下院228議席を確保した。共和党が主導権を握ってから2年後となった現在、暗号資産立法議程の主導権は共和党から民主党へ移行する。

業界批評家であるエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)、シェロッド・ブラウン(Sherrod Brown)、マクシン・ウォーターズ(Maxine Waters)らは主要委員会を率いる可能性が高い。彼らの影響力により既存の暗号資産法案の通過がより困難になり、議会の関心はトランプ家の暗号資產業務であるWorld Liberty Financial(WLF)への調査へとシフトするとみられる。

穏健派や親暗号資産の民主党議員でさえ、公職者に対する利益相反規則の設定を望んでいる。これらの条項を巡る交渉により、CLARITY法案(暗号資産市場構造法案)の延期予想をさらに超える遅れが生じる可能性がある。

共和党は新たな立法推進ではなく、GENIUS法案(安定通貨法案)の防衛に重点を置く。彼らは依然として、上院で「フィリバスター」を阻止するために必要な60票のハードルや、大統領の拒否権の抑止力を活用して、民主党の提案を妨げることができる。

トランプ大統領が支持する暗号資産フレンドリーなアジェンダの実行は、さらに大きな制約を受けることになる。規制の方向性とペースは、民主党がどのようにトランプ家の商業的利益を追跡するか、そしてホワイトハウスがどう対応するかに依存する。

1. アメリカ中間選挙の結果現状

民主党は100議席の上院で54議席、435議席の下院で228議席を確保し、それぞれ過半数閾値の51議席、218議席を上回った。これは民主党が上院で純増7議席、下院で純増25議席を記録したことを意味する。現在も上院選挙2選挙区、下院選挙68選挙区の集計が残っているものの、両院掌握は確実視されている。

2027年1月に第119回議会が開会されると、民主党は立法議程および各委員会の委員長ポストを掌握する。

この結果は暗号資産にとって極めて重要だ。過去2年で市場形成を支えた2大立法課題であるGENIUS法案とCLARITY法案がともに共和党主導で進められてきたからだ。今や民主党は後続の立法を阻止し、共和党が構築した枠組みを見直すことができるようになり、これは市場全体に広範な影響を与えるだろう。

2. 当選民主党議員のデジタル資産への立場

過去の発言や記録に基づくと、当選した民主党議員はおおむね3つに分類できる。

伝統的な批評家:デジタル資産は規制回避のために設計された業界だと見なす。

穏健派:明確なルールを支持するが、公職者に対する利益相反制限の設定を求め、消費者保護を強化することを堅持している。

小規模な親暗号資産派:明確な法的枠組みを通じて業界を監視下の金融システムに組み入れたいと考えている。

業界にとっての難点は、批評家がどの法案を進めるかを決定する委員会の議長職を確保する可能性が高いことだ。

穏健派や親暗号資産の民主党議員も無条件の味方ではない。彼らもまた議会に対してトランプ家のデジタル資產業務に対応するよう求めているため、現行法案がそのまま進行する可能性は低い。

2.1 批評家が主要委員会を掌握する可能性が高い

今回の選挙は民主党内の業界批評家の地位を強めた。

2020年の民主党予備選挙に出馬したエリザベス・ウォーレン上院議員らを代表とする彼女たちは、デジタル資産を監管回避のために設立された業界と見なし、業界に優しい立法の一貫した反対を貫いてきた。民主党が与党となるにつれ、これらの議員がデジタル資産法案を担当する委員会を率いる可能性が高まっている。

当選予定の上院議員シェロッド・ブラウン氏はオハイオ州の上院議員を3期務め、かつて上院銀行委員会の議長も務めた業界の最も著名な批評家の一人だ。委員会議長在任中には暗号資産立法の進行を阻止した経緯がある。

2021年の安定通貨に関する公聴会でブラウン氏は、安定通貨は分散化されておらず、かつ透明性もないとの見解を示した。今回は暗号資産業界を支援する政治団体が大略6,300万ドルを用いて彼の再選阻止を試みたものの、彼は勝利した。この歴史的背景から、業界が彼からの親しみやすさを期待するのは無理だ。

1991年から下院議員を務めてきたマクシン・ウォーターズ下院議員は、一般的に下院金融服务委員会委員長の筆頭候補と見なされている。

ウォーターズ氏は現在、同委員会の最高ランク民主党議員である。彼女は2019年から2023年まで同委員会委員長を務め、その職に就いた初の女性かつ初の黒人となった。民主党が下院を奪還したことに伴い、彼女が再びこの職に就くことが予想されている。

GENIUS法案が上院を通過した際、ウォーターズ氏はその欠陥だらけであると批判し、法案名が「天才」と付いているにもかかわらず何ら聡明なものではないと述べた。彼女は最近のバイナンス(Binance)ハッキング事件を警告と表現し、強力な説明責任メカニズムなくして暗号資産業界が機能しえないことを示唆した。

これらの議員が主要委員会を率いるようになるにつれ、共和党が過去2年間に推し進めてきたデジタル資産アジェンダは、これまでよりも遥かに大きな抵抗に直面することになる。

彼らの第一目標は、おそらくトランプ家のデジタル資產業務であるWorld Liberty Financialだろう。以前報道によると、アブダビ王室関係者と繋がる投資家がトランプ氏の就任4日前、約5億ドルでWLF株式の49%を取得しており、民主党議員はこれに基づき上院での公聴会開催を求めている。

議会がSECが十以上のデジタル資産執行訴訟を取り下げた理由を調査する可能性もある。ウォーターズ氏はすでにこれに関する調査を要求している。上院民主党議員はSECおよびCFTCの主要職位の人事承認を遅らせることで、規制当局に対しさらなる圧力をかける可能性もある。

そのため、2027年上半期のデジタル資産分野のトップニュースは、WLF関連者への調査とSEC議長への召喚に集中し、立法進展の方がかえってあまり注目されないかもしれない。

2.2 穏健派は明確なルールを支持するが条件付き

穏健派民主党議員は概ねデジタル資産立法を支持しつつ、同時に消費者保護の強化と公職者への利益相反制限の設定を求めている。CLARITY法案が民主党主導の議会において再度議題に上った場合、彼らの要望が法案の最終的な姿を決定づける可能性がある。

ロ・カーナ下院議員は長年にわたりデジタル資産に対する明確なルール制定を支持してきた。2022年、消費者保護と透明性を強調した「デジタルコモディティ取引法」(Digital Commodity Exchange Act)を共同提案した。2025年、同年の議会において安定通貨立法とCLARITY法案の両方を可決できると語った。しかし同席の行事では、選挙で選ばれた公務員はmemecoin(ミームコイン)を持つべきではないとも主張した。

カーナ氏は2028年の大統領選挙における有力候補とも目されており、これが公職者の利益相反問題を強調するさらなる理由となっている。

当選予定の上院議員で元ノースカロライナ州知事のロイ・クーパー氏には連邦レベルでの投票記録はない。ただし選挙期間中は業界代表と会談し、業界側が法規遵守を望んでいる旨を示した。彼は企業が必要なのはルールが何かを知ることであり、それらが頻繁に変更されないことを確信することだけだと考えている。彼の立場は規制の安定性を支持し、消費者保護を重視するという両面を含んでいる。

これらの議員が協議に入れば、既存法案の改訂を要求する可能性が高い。

穏健派は法案支持の前提として、公職者がデジタル資産を利用した私物化を防ぐ条項を追加することを求める可能性がある。カーナ氏の「暗号資産腐敗禁止法」(Ban Crypto Corruption)がその一例だ。また彼はWLFとアラブ首長国連邦間の往来記録の開示を求める調査を開始した。

クーパー氏などの議員は違法金融活動への防護策を強化し、消費者保護を一層高めるよう推進する可能性が高い。だが大統領家族への条項が含まれる場合、トランプ氏が関連立法に拒否権を発動させる要因となるかもしれない。

その結果、立法者が現行文本と民主党穏健派が求める改正案について協議する間、CLARITY法案は停滞を続ける可能性が高い。

2.3 親暗号資産派の民主党議員

このグループには、下院でCLARITY法案およびGENIUS法案に賛成票を投じた議員や、選挙戦の中でデジタル資産に対する明確なルール構築を主張した人物が含まれる。民主党主導の議会においては業界の潜在的な味方だが、現時点では関連委員会の主導権を握れる立場にない。

リッチー・トルレス下院議員は民主党内でデジタル資産立法を最も積極的に推進する人物の一人だ。彼はCLARITY法案および「ブロックチェーン規制不確実性解消法」(Blockchain Regulatory Certainty Act)を共同提案し、2025年の下院投票前には民主党僚僚に対しCLARITY法案支持を促書簡を書いた上でGENIUS法案に賛成票を投じた。

2026年2月のSEC監督公聴会でトルレス氏は、長年にわたりデジタル資産やブロックチェーンといった新技術に期待を抱いてきたと表明した。ただし彼の支持にも境界線がある。今年1月、ベネズエラ大統領マドゥロ失脚に賭けた疑惑のあるPolymarket取引が露見した後、他の30名の議員と共に立法案を提出し、公職者が非公開情報を利用して予測市場で取引することを禁止した。

当選予定の上院議員クリス・パパス氏は下院議員時代、CLARITY法案およびGENIUS法案の両方に賛成票を投じた。投票後、米国が革新におけるリーダーシップを維持するには新技術を embracing し、デジタル資産に対する明確なルールとセーフガードを構築しなければならないと語った。彼はこれらの法案を消費者保護と中小企業の成長支援の出発点と位置づけた。

同時にパパス氏はトランプ大統領が既存の倫理基準と法的要請を軽視している点に強い懸念を表明し、公職者に対するより厳格な反腐敗規則の施行を呼びかけた。2026年5月、彼は下院に対し予測市場における腐敗およびインサイダー取引の問題調査を提唱した。

これらの議員は他の民主党議員の支持を得るため、CLARITY法案に利益相反条項の追加を求める可能性が高い。

トルレス氏とパパス氏の両氏はこの法案を支持しつつ、公職者が職務を利用して私利私腹を肥やすことを必ず防がなければならないと主張している。9月の上院投票では民主党議員は全員反対票を投じ、トランプ家のデジタル資產業務への懸念が主な障壁の一つだった。これらの懸念を解決すれば、民主党が該法案に反対する主要な理由の一つが取り除かれる。

しかし、彼らがこのプロセスを主導する能力は依然として限定的だ。業界批評家が主要委員会を掌握し、大統領家族向け条項がホワイトハウスの抵抗に遭う可能性もある。業界にとっては、今後2年間の行方は很大程度上、親暗号資産派の民主党議員が倫理条項を活用して両者受け入れ可能な妥協案を作り出せるかどうかにかかっている。

3. 当選共和党議員:アジェンダは変わらず、支配力は低下

当選した共和党議員は依然としてプライベート発行の安定通貨を支持し、米ドルの世界的覇権維持手段と見なしている。また政府発行の中央銀行デジタル通貨(CBDC)にも反対している。

ただし、業界に優しい複数の共和党議員が落選したことで、特にジョーン・ハーステッド上院議員や下院デジタル資産小組委員会委員長を務めたブライアン・スティール下院議員などの影響力は既に弱まっている。

3.1 GENIUS法案とCLARITY法案の背景にある議員

上院議員ビル・ハグティ氏と下院議員グレン・トンプソン氏は共に再選を果たし、安定通貨立法およびCLARITY法案の骨子作成に関与してきた。共和党が両院で過半数を喪失する中、彼らの最優先課題は既に獲得した立法成果を死守することに移行する。

今後、共和党議員はより多くの時間を現行政策の擁護に充てることになる。

彼らはGENIUS法案保護に重点を置き、上院でフィリバスターを阻止するために必要な60票のハードルとトランプ氏の拒否権の抑止力を活用し、民主党による規制強化の試みを妨げる可能性が高い。またSECおよびCFTCが現在の権限の枠内で規則を定めることを支持し、新たな立法がない中でも政策作業が続けられるようにする方向もありうる。

3.2 CBDCに対する坚定的な反対

CBDCへの反対は当選共和党議員間でもっとも明確なコンセンサスの一つである。彼らはデジタル資産政策を業界発展と政府による金融活動監視の制限の両立を図る手段と捉えている。

これらの議員は民間部門のデジタル資産を支持する一方、政府直接発行のデジタルドルには断固反対している。彼らはCBDCが個人取引の監視ツール化する恐れがあるとみており、代替案としてプライベート安定通貨を選択肢に挙げている。

彼らの目標は立法によりCBDCを禁じることだ。民主党が議会を掌握する状況下では、この道は実際上今後2年間塞がれている。

トランプ大統領が2025年1月に署名した大統領令は、連邦レベルで米国のCBDC禁止を明示する主要根拠であり続けている。将来の大統領がこの大統領令を撤回する可能性のため、共和党議員は常に禁止規定を法典化する試みを続けてきた。トム・エマー下院議員が提案した「CBDC監視国家反対法」(Anti-CBDC Surveillance State Act)は2025年7月に下院を通過したが、上院では批准されなかった。両院で民主党が掌握する状況下では、この法案の展望はさらに暗いものになっている。

それ故、これらの議員はGENIUS法案の実施状況を監視することに重点を置く可能性が高い。例えば財務省が公布した実施細則に、政府が安定通貨取引を監視できる仕組みを導入していないか検証するかもしれない。

この大統領令が有効である限り、トランプ氏の残任期(2029年1月まで)中にCBDCが導入される可能性は低い。そのため、彼らの注目は安定通貨ユーザーのプライバシー保護に移行する可能性が高い。

4. 議会のアジェンダは現在民主党が主導

民主党はすでに両院で多数派を獲得した。残りの選挙結果は多数優勢の大きさを左右するが、議会運営の主導権はすでに移動済みだ。

現在の立場から判断すると、トランプ家のデジタル資產業務への調査が新たな立法可決よりも優先される。関連委員会における民主党の顔役陣は選挙前からこれらの業務を最優先調査対象としていた。多数党として、彼らは召喚状を発動する権限を握る。

もし民主党がCLARITY法案の再審議を行ったとしても、より強力な消費者保護と公職者への利益相反制限を要求する可能性が高い。9月の上院投票では同法案は民主党議員全員から支持を得られず、トランプ家のデジタル資產業務への懸念が主な障壁の一つとなっていた。

共和党はGENIUS法案の擁護と民主党による規制強化提案の阻止に注力する。少数党という地位は新たな立法通過を難しくするが、法案妨害能力はまだ相当高い状態を維持している。大半の論争的な法案は上院でのフィリバスター阻止に60票を要し、さらにトランプ氏は自身の机に届いた立法に拒否権を発動できる。

現在、CLARITY法案が通過する道はより困難を極めている。本次政権の暗号資産フレンドリーアジェンダの主要な政治的主導者であったトランプ氏の展開余地も狭まるだろう。共和党の政策目標は基本的に変わっていないが、進展は鈍化する可能性が高い。

規制の方向性とペースを読み解くには、業界は民主党の指導部がどのようにしてトランプ家のデジタル資産への利益を追跡するか、そしてホワイトハウスがどのように応答するのかを観察する必要がある。

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